
Professor Munakata by Hoshino Yukinobu (c)
News1 May 2019
The Citi exhibition Manga マンガ, 2019年5月23日〜8月26日
大英博物館は日本国外では最大規模となるマンガ展を2019年5月に企画する。海外のコミック本またはグラフィックノベルからさらに多用な広がりをみせる日本のマンガは、雑誌でシリーズ化されるなどして、世界中の読者に楽しまれている。今ではマンガ産業はアニメやゲームへと展開し、言葉の壁を超えて世界でも数10億ドルの売り上げを誇る視覚的文化に発展した。「漫画」という漢字は「気の向くまま、自由に描いた絵」に由来しており、この解釈は、19世紀を代表する絵師、葛飾北斎が人物、動物や自然をスケッチした画集『北斎漫画』で使用された。しかしその後、マンガはユニークなキャラクターが登場する絵物語として発展し、世界中の人々が共感できる題材を扱うようになった。「The Citi exhibition Manga マンガ」展は、マンガの芸術性を体験し、マンガが日本でどのように生まれ、世界に広がる文化現象となっていったのかを紹介する展覧会である。本展では、日本独自のマンガ、様々な海外文化との交流、アニメやゲームからコスプレなどのパフォーマンスアートにまでわたる影響力の広がり、というよう衰えることないマンガの魅力を探っていく。
大英博物館は世界的にも有名な日本コレクションとその専門的な知識を蓄積してきた。本展ではさらに、日本のマンガ家、編集者、出版社や専門家と協力して、鑑賞者はマンガという独特な世界観を体験することができる。大胆なデザインを産んだ日本の大衆文化の早い事例としては葛飾北斎(1760年~1849年)や河鍋暁斎(1831年~1889年)の作品があり、今日21世紀の作品まで、すべての人々が楽しめるメディアがマンガである。本展では多くの日本にある作品が展示されることになっており、マンガがどのように数10億ドルの産業へと成長したかを明らかにする。観覧者は実際に東京にある最も古いマンガ専門書店に入ることができ、マンガ家の制作現場を体験し、マンガの編集者と出会い、特別なフォトブースによって観客自身がマンガ作品になるなど、マンガの世界に没入できるように会場デザインが工夫されている。マンガとそのキャラクターを生き生きと再現させるオーディオやビデオのインスタレーションも展示される。さらに、「コミックマーケット」や「世界コスプレサミット」といった巨大イベントを通してマンガファンがいかにマンガ産業を支えているかについても考察する。鑑賞者はこのようなイベントを体験したり、コスチューム体験をして自分のコスプレ写真をシェアする機会も提供される。
本展では世界的に知られる多くのマンガ家の作品が紹介される。手塚治虫作『鉄腕アトム』、『リボンの騎士』、赤塚不二夫作『ウナギイヌ』、鳥山明作『ドラゴンボール』、井上雄彦作『バガボンド』、『REAL』、尾田栄一郎作『ONE PIECE』、萩尾望都作『ポーの一族』、竹宮惠子作『風と木の詩』、こうの史代作『ギガタウン』や東村アキコ作『海月姫』といった名前が含まれる。マンガの垣根を飛び越えて、ゲームソフトをベースとして世界的現象となった作品例としてポケモンも取り上げる。参加作家や出版社、紹介されるマンガキャラクターや専門家の詳細は2019年に発表する。
マンガにはスタイルや題材が異なる膨大な作品数が存在する。また様々な考え方やアイデンティティ、表現方法が使用されているため、さまざまに異なる声に答えるようにすべての年代の人々がそれぞれのやり方で楽しめるのが特徴だ。最も多く発行された単一作者によるコミックシリーズとしてギネスブック記録に認定された尾田栄一郎の『ONE PIECE』は世界現象となった。世界中に語り継がれる伝説の大秘宝<ワンピース>を探して、海賊王となることを夢見るモンキー・D・ルフィとその若き海賊仲間による冒険記である。単行本は第91巻まで刊行されており、アニメだけでなく歌舞伎としても上演されており、幅広い年代の人々に世界中で楽しまれている。
深刻な問題を取り上げる漫画もある。たとえば『海月姫(くらげひめ)』は、主に女性の読者を対象として女性漫画家、東村アキコ(1975年生まれ)によって作られた連載マンガである。東京にある架空の男子禁制のアパートを舞台に、性別やアイデンティティに基づく表現とは何かを読者に考えさせるストーリーだ。アパートの住人である女性と、男に生まれたことによって縛られる運命を避けるため、また母親を近くに感じたいという理由で女装する政治家の息子、その二人の間に生まれる友情が描かれる。この2つの作品でみられるように、マンガにはあらゆるプラットフォームを通して様々なオーディエンスを魅了する力がある。
過去に大英博物館もマンガの題材となったことがある。星野之宣の『宗像教授の大英博物館の大冒険(Professor Munakata’s British Museum Adventure)』(2010年)は、架空の東亜文化大学に勤務する民俗学教授である人気キャラクターが、大英博物館の収蔵品を奪おうとする謎の敵と対決する物語である。
本展でのハイライト作品のひとつに、東京の早稲田大学演劇博物館が所蔵する河鍋暁斎画「新富座妖怪引幕」がある。長さ17メートル、高さ4メートルのこの巨大な引幕は新富座で飾られていたもので、今回Sainsbury Exhibition Galleryの壁一面にダイナミックに展示される予定だ。画家、河鍋暁斎が1880年に制作した本作は、線と色のあいだに現れる妖怪と幽霊を描いたものであり、暁斎の他の芸術作品やマンガにもみられるように現実と幻想の世界を行き来する作品だ。本展で、鑑賞者は伝統的な毛筆画と、現代のマンガとの相互作用について理解を深めることができるだろう。作品状態の関係から、この作品が日本国外に持ち出されるのは今回が最後になる。本展は英国の観客が日本を代表する重要美術品であるこの巨大な引幕を目前で鑑賞することができる貴重な機会となる。
マンガから派生して生まれたアニメやゲームは日本のみならず世界中で絶大な人気を誇っている。アニメは1917年に誕生し、1960年代から人気を集め、現代では世界的な産業へと成長した。アニメは本展のオーディオビジュアルコンテンツに含まれているだけでなく、大英を会場としたアニメのフィルムスクリーニング、夜のイベント、講義やワークショップなどの一般プログラムを企画しており、詳細については2019年春に公表する。
支援企業 Citi
物流パートナー IAG Cargo
本展は「UK/JAPAN SEASON OF CULTURE 2019-2020」の一環として開催される
大英博物館館長 ハートヴィグ・フィッシャー、
マンガは日本で完成した物語の近代グラフィックアートであり、いまや世界中で愛されています。日本の数世紀に及ぶ伝統を踏まえた最高の漫画は独創的なストーリーで私たちを興奮させ、その世界に引きつける視覚的な力を持っています。大英博物館は世界でも有数の日本のグラフィックアートのコレクションを所有しています。現代の素晴らしい漫画家や、北斎や暁斎などの過去の偉大な芸術家の作品を一緒に展示できることを光栄に思います。当美術館でのこの素晴らしい展示の実現を支援してくださったCiti、そして展示品の英国への搬送を援助してくださるIAG Cargoに感謝しています。また東京の国立新美術館および Organisation for the Promotion of the Display of Manga and Animeの皆様の支援や援助にも感謝いたします。
英国Citiカントリーオフィサー ジェームズ・バードリック
5年にわたるCiti Exhibitionシリーズを通して大英博物館とのパートナーシップを継続できることを誇りに思います。当社は世界的な銀行として多様な考え方を尊重し、文化の共有や鑑賞をとおしてそれぞれの成長を促進できると信じています。The Citi exhibition Mangaで歴史的にも近代的にも重要な日本のアートマンガの文化の探求について大英博物館を支援できることを誇りに思います。
編集者へのメモ;
The Citi exhibition Manga は大英博物館のSainsbury Exhibitions Galleryで2019年5月23日から8月26日まで開催される。
支援企業 Citi
物流パートナー IAG Cargo
本展は「日英文化季間 2019-2020」の一環として開催される。
オープン時間は、土曜日~木曜日の午前10:00~午後5:30、金曜日の午前10:00~午後8:30。最終入館時間は、クローズの80分前。
大人 £19.50、16歳未満は無料。学生の金曜日2-for-1(1人分の料金で2人目が無料)チケットや、割引およびグループ料金が利用可能。
オンラインまたは電話では予約料金が適用される。
britishmuseum.org/Manga
+44(0)20 7323 8181
本展に伴い完全な一般イベントプログラム が開催される。本プログラムの詳細は本展オープニング前に後日公表される予定。
本展の美しいイラストカタログManga、が大英博物館との協働でThames & Hudson社により5月に出版される予定。
Citi
世界的な大手銀行、Citiは約2億もの顧客口座を有し、160以上の国と地域で事業を展開している。消費者、企業、政府や機関に、消費者金融およびクレジット業務、企業および投資銀行業務、証券仲買業務、取引サービスおよびウェルス・マネジメントを含む幅広い金融商品およびサービスを提供している。
The Citi Exhibitionシリーズは大英博物館の主要な展示を5年にわたり支援する。本シリーズは、2012年にCiti Money Galleryが大英博物館を支援して始まった関係を拡張するもので、大英博物館が請け負う重要な役目を支援する。本シリーズは、大英博物館の世界的なコレクションを鑑賞し、歴史的な内容をコンテンポラリーなテーマに映し出す多様な題材を探求する機会を提供する。同社は大英博物館とパートナーシップを結び、人類の歴史を保護する世界的かつ重要な役割を担えることを誇りに思い、Citiの支援により大英博物館が画期的な展示や名高い教育プログラムを継続できることに価値を見出している。
IAG Cargo
IAG Cargoは2011年4月のブリティッシュ・エアウェイズ ワールドカーゴおよびイベリアカーゴの合併後に設立された部門。さらにAer Lingus、Vueling およびbmiを含む航空会社との統合を経て、IAG Cargoは現在350以上の空港に就航している。
IAG Cargoの2017年の商業収入は1,132百万ユーロで、2,470人以上の従業員を抱える。
航空機565機を所有する親会社International Airlines Groupは、世界最大の航空会社のひとつである。グループとしてヨーロッパで第三位、世界第六位の収入を誇る。
IAG Cargoに関する詳細は、IAG CargoのYouTubeチャンネルhttp://www.youtube.com/user/IAGCargo またはIAG Cargoのウェブサイト: https://www.iagcargo.com を参照してください。
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#MangaExhibition および@britishmuseumを使用してください
Mangaに関する内容は、大英博物館のブログblog.britishmuseum.orgを確認してください
詳細は
プレスオフィスに連絡してください
020 7323 8394/8594
communications@britishmuseum.org
高解像度画像およびキャプションシートはhttps://bit.ly/2E21lSI で参照可能