スコラーの体験談(大和日本研究スコラー)
レベッカ・パターソン 大和日本研究スコラー2018

京都大学大学院修士課程学位授与式に出席したレベッカ・パターソン
私の修士号は科目履修型コースで、言語習得や学習に関する基礎 をしっかりと学ぶことが出来ました。論文ではスピーキングの効果を向上させる方法として、リフレクション・ストラテジーを扱ったため、このコースで学んだことは論文の執筆に大変役に立ちました。修士号取得後、私は京都大学で研究を続けることを決意し、教育学研究科教育認知心理学講座という別の科で博士号を取得することにしました。私の研究対象は、注意や認知負荷の問題といった外国語を話す時の不安に関する認知メカニズムへと若干シフトしました。経済的に自立し、学術的な経験を積むため、京都ノートルダム女子大学と京都府立大学で英語を教えており、独自のカリキュラムに沿ってスピーキング重視の授業を行っています。学生がレッスン味を持ち、100%理解できるように授業を進めており、私の日本語のスキルが役立つ場面が多くありま
す。さらに私は外国語として日本語を習得し、女性のキャリアチャンスが制限されている日本で若い女性ながら成功しているというロールモデルとしての役割も果たしています。
エリザベス・ウォーマルド 大和日本研究スコラー2016

2017年東京の国立新美術館における草間彌生の「わが永遠の魂 」 展にて
私は大和日本研究スコラーとして早稲田大学国際コミュニケーション研究科修士課程で視覚文化を学びました。私の研究は日本の女性写真家に焦点をあてたもので、彼女たちの自画像を美術史における
伝統的な男性的視線を打ち崩す手段として捉え分析しました。2019年春に修了した後、ロンドンのクリスティーズ日本美術部門でインターンシップに参加。美術市場への理解を深め、浮世絵について多くのことを学びました。2019年8月、ローズベリー・ファインアート・オークショニアーズでフルタイムの職に就き、日本部門と版画・マルティプル部門のカタログ担当として働いています。私の研究は、北斎や草間彌生からピカソやブリジット・ライリーに至るまでの作品を扱う、日本のファインアート及び現代
国際アートの二つの専門分野におけるプロとして仕事をすることを可能にしました。
ハリエット・クック 大和日本研究スコラー2017

ハリエット・クック
東京の株式会社日立
ビルシステム亀有総
合センターにて
大和日本研究スコラーとして、私は早稲田大学大学院アジア太平洋研究科国際関係学専攻で修士を得ました。私は日本の女性の出産と子育ての選択に影響を与えている要因について研究しました。
首都圏に住む9名の女性に対して行なったインタビューを通して、私は性別による制約の存在を裏付ける証拠を見つけました。それは私がインタビューした人々の生活に今もなお重要な影響を
与え続けています。日本政府の最近の働き方改革は、効果のない一時しのぎの政策とみなされていました。適齢期という規範、結婚を母性と同一視する社会的圧力、子育てと両立しないフルタイムの仕事といった根本的問題の解決にはなりませんでした。私は卒業後に、シェフィールド大学で開催された英国日本研究協会(BAJS)の2018年のカンファレンスで、私の研究成果を発表しました。学部生としてかつて日本語を学んだ大学に戻ることができ、うれしく光栄に思いました。。現在では、 日立レールヨーロ ッパ社のビジネス・マネジメント部門で働いています。
カラ・ジュール 大和日本研究スコラー2015

カラ・ジュール セント・アントニーズ・ボート部の春の
パーティにて
カラは2016年に近代日本研究の修士課程を修了し、現在オックスフォード大学セント・アントニーズ・カレッジの博士課程2年次に在籍しています。彼女の研究は日本における数学の成績の性差について探究するもので、特に教師や教育政策担当者等の主要な関係者が、いかにこの問題を理解しているかという点に焦点を当てています。日本が抱える興味深い問題は、PISAやTIMSS(15才)等の国際学力調査で高い評価を受けていながら、女子は男子クラスメイトに比べ著しく低い得点であり、数学に対する自信や
興味もはるかに低くなっていることです。経済学上重要なSTEM(科学・技術・工学・数学)分野職業への女性の進出を奨励する「アベノミクス」戦略の目標にも関わらず、数学に対する考えや成績の性差について、日本社会でほとんど無視されてきたのはなぜなのか、カラは調査を続けています。
最近、フィールドワークの第2ラウンドを終え、第3ラウンドを計画中です。
トーマス・モナハン 2大和日本研究スコラー2016

中央,トーマス,左,株式会社島津興業 代表取締役会長 島津修久氏 .右,株式会社島津興業代表取締役社長島津忠裕氏 。
トーマス・モナハンは 2017年夏に東京大学大学院人文社会系研究科・日本史学外国人研究生を終えました。エディンバラ大学で学士号(歴史)、そしてロンドン大学SOASで修士号(日本研究と
上級日本語)を取り、間の2年間には香川県の直島でJETプログラムの外国語指導補助教員として働きました。日本にいる間に、トーマスは薩摩藩(現在の鹿児島県)が徳川幕府の打倒と明治政府の設立を目指して1830~1877年に果たした重要な歴史上の役割を調査しました。薩摩の近代化におけるリーダーシップの原点及び島津斉彬(1809-1858)による薩摩の産業化推進を研究する一方で、明治政府の近代化改革に対する激しい反発とみなされる1877年の反動軍国主義とを研究しました。2017年9月から始まるイェール大学博士課程では、薩摩が日本の他の地域とは別の道を進んだこと、そしてこれが19世紀の大変動
期に日本の政策の特徴を明らかにした理由をさらに探究します。